危篤になった時
「ここ数日かもしれません」
「非常に危険な状態です」
「ご家族の方を呼んでください」
とお医者さんからそのように告げられたとしたら、どのように対処すればよいでしょうか。
おそらく事前準備がなければ、気が動転して何をしたらよいか冷静な判断ができないと思われます。たとえ事前準備をしてあったとしても、冷静さを保つことが出来ないかもしれません。
下記は危篤になった時の対処法の一例です。
- 近親者、ご本人の親しい友人、会社・学校などでつながりの深い人へ連絡
- 家族ができるだけご本人のそばにいてあげる
1.の“近親者”とは一般的に親・兄弟姉妹・子・孫・甥・姪などの「三親等以内」をさします。
- 遠方でほとんど会うことがない
- 以前の相続問題でもめている
- 相性が合わない
などであってもこればかりは別として連絡するようにしましょう。後々「なぜ連絡してくれなかったんだ」と言われ、とても辛い思いをしないようにするためです。
2.は「危篤にになった時」に一番重要なことです。急な対応で仕事、家事、学校などに影響がある場合は、交代しながらご本人の側にいてあげましょう。
臨終を迎えた時
「○時○分、ご臨終です」
などとお医者さんより告げられた瞬間、そうと言われても信じられない、信じたくない・・・。
しかし、そうであっても臨終後にすべきことを進めて行かなくてはなりません。
病院で亡くなった場合、医師の死亡判定後一般的に下記の手順で処置や儀式が行われます。
末後の水 | 故人が生き返るようにあの世で渇きに苦しまないようにと願いを込めた儀式です。具体的にはガーゼや脱脂綿を割り箸の先に巻きつけ、器に入った水を含ませた後故人の唇を水で潤します。 |
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清拭(せいしき) | 現在はアルコールを含ませたガーゼなどで全身を拭く清拭が一般的です。看護師さんが清拭後、口、耳、鼻などに脱脂綿を詰める処置をします。湯灌(ゆかん:ご遺体のお清め)を希望する場合は、搬送後葬儀社や専門業者に依頼します。 |
着替え・死化粧 | 死後の処置が終わると、看護師さんが新しい服に着替えさせてくれます。もし故人に着せてあげたいものがあったらこの時渡しましょう。なぜなら、時間が経つと遺体が硬直してスムースに着せかえることができないからです。着替え終わったら、看護師さんが遺体の髪をとかしたり、薄化粧したり、男性なら髭を剃ったりして身なりを整えます。 |
葬儀社へ連絡
臨終後の処置や儀式は病院によって異なりますが、通常一時間くらいかかります。その間に事前相談を経て決めた葬儀社へ遺体の搬送を依頼します。搬送先は通常、
- 自宅
- 斎場・葬儀社のホールや霊安室
- 火葬場の霊安室
の3つとなります。
病室から霊安室へ移動する際の白衣を着た人
病室からストレッチャーなどで(病院の)霊安室へ移動する際または霊安室への移動後、(看護師さんから手が完全に離れて)白衣を着た人が代わりにご遺体を運んでくれることがあります。実はこの人たち、病院のスタッフではなく病院に出入りしている葬儀社のスタッフです。
「葬儀社はお決まりですか?」
などと聞かれたら、
「すでに依頼した葬儀社が迎えに来てくれます」
とハッキリ言いましょう。
もし遺体を搬送する葬儀社が決まっていない場合、そのまま病院出入りの葬儀社に依頼するとなると通常より割高になってしまうことを承知しておいてた方がよいでしょう。なぜなら、そうした事態に24時間対応するための費用(人件費、待機場所費用など)をあなたの葬儀費用に加算しなければ会社として採算が合わないからです。
遺体を搬送・安置する
連絡した葬儀社の寝台車が到着したら、搬送先(自宅、斎場・葬儀社のホールや霊安室、火葬場の霊安室など)へ移動し安置します。
その際、故人の信仰によって方法が変わってくるので葬儀社や宗教者に相談しながら進めて行きましょう。
各形式の安置・枕飾りの方法
下記はあくまで一例です。
地域や宗派などにより異なる場合があります。
仏式 |
遺体は北枕(地域によっては西)にして安置します。その他、魔除けとしてさやから少し抜いた短刀(守り刀)を枕元や胸の上に、悪霊が近づくのをふせぐため逆さにした屏風(逆さ屏風)を置きます。
枕飾りは枕元に白木の台を置き、その上に香炉や燭台、花立て、しきみ、たむけ花、枕団子・枕飯(浄土真宗では行わない)を置きます。 |
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神式 |
遺体は頭を北か部屋の上座に向け、白布で顔を覆います。遺体の前に案(白木八足の机)またはそれがない場合は小机に白布掛けて設置し、その上に刃を遺体に向けないようにして守り刀を置いて灯明を点けます。
神式では枕飾りを整えることを「枕直しの儀」といいます。案(白木八足の机)に生前好んだ常饌(日常の食べ物)、または生饌(洗米、塩、水)を供えます。 |
キリスト教式 |
キリスト教式では特に安置の方法に決まりはありません。神父さんや牧師さんに来てもらい、納棺の儀式を行う場合もあります。
枕飾りはテーブルの上に白布をかけ、燭台、生花、聖書を置きます。その他、カトリックであればロザリオと聖歌集、プロテスタントであれば十字架と賛美歌集などを置きます。 |
遺体を自宅に連れて帰る
近年は遺体を直接斎場の霊安室へ搬送するケースが多くなってきていますが、「故人が慣れ親しんだ自宅に連れて帰る」という本来の形式を望まれるご遺族も少なくありません。
寝台車から家に運ぶ際、スタッフだけでなくできるだけ家族の方も一緒に運び入れてください。なぜなら、「弔う」ということを肌で感じるためです。特にお子さんには「死」というものを身近に感じ、今自分が生きているすばらしさを知る良い機会となるでしょう。
安置する部屋は近所の方が弔問にきやすいところにします。その際、生前に使っていた布団は保冷が効くよう厚めのものを敷いてください。その後、葬儀社のスタッフがドライアイスで保冷の処置をします。
そのまま葬儀を自宅でする場合は、近隣にそのことを知らせてあらかじめ挨拶をすることを忘れないようにしましょう。
『死亡診断書・死亡届』の提出
臨終後必ずしなければならない手続きとして、『死亡診断書・死亡届』の提出があります。
その用紙は一般的にA3サイズ一枚で、右側が医師の記入する『死亡診断書』、左側が遺族の記入する『死亡届』となっています。
受け取りから提出までの流れは以下の通りです。
医師より死亡の診断が下る
↓
医師より『死亡診断書』が発行される
↓
遺族が『死亡届』に必要事項(※1)を記入する
↓
役所(※2)へ死亡した日から7日以内に提出する
↓
提出後戸籍から除籍され、火葬や埋葬が可能となる『火葬許可証』が発行される
※1 本籍地を記入する欄があります。間違った場合は後日訂正ができますが、二度手間となるため
「本人と自分」の本籍地を調べておくと良いでしょう。
※2 死亡地、故人の本籍地、届出人が住民登録しているいづれかの役所
なお、役所への「死亡診断書・死亡届」の提出及び「火葬許可証」の申請・受領は葬儀社で代行してくれます。申請時には書類に押印が必要なので三文判を預けることになります。
臨終後慌てて決めたまったく知らない葬儀社へ依頼するのは不安がありますので、この点においても事前相談をしてご家族の方が信頼できる葬儀社を探しておくと安心です。
お葬式の形式と流れ
日本のお葬式における代表的な3つの形式(仏式、神式、キリスト教式)とその流れを知っておきましょう。
下記はあくまで一例です。
地域や宗派などにより異なる場合があります。
仏式
日本の葬儀は9割以上がこの形式です。簡単に言ってしまえば、お坊さん(僧侶)を呼び、戒名を付けてもらい、通夜・告別式を行って、火葬するという流れです。
<お通夜> |
一同着席 ↓ 僧侶入場 ↓ 開 式 ↓ 読 経 ↓ 焼香(遺族・親族) ↓ 焼香(参列者) ↓ 僧侶退場 ↓ 閉 式 ↓ 通夜ぶるまい |
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<葬儀・告別式> |
一同着席 ↓ 僧侶入場 ↓ 開 式 ↓ 読経・引導 ↓ 焼香(遺族・親族) ↓ 焼香(参列者) ↓ 僧侶退場 ↓ お 別 れ (棺を囲んで副葬品や花を手向ける) ↓ 喪主挨拶 ↓ 出 棺 |
神式
神式で行われるお葬式は僧侶ではなく「神主さん(斎主)」がくる、お焼香の代わりに「玉串」をお供えする、戒名ではなく「○○○(命(みこと)」という霊号が用いられるなどが仏式との大きな違いです。
<通夜祭> |
一同着席 ↓ 斎主・斎員入場 ↓ 開 式 ↓ 祭祀奏上〈さいしそうじょう〉 ↓ 遷霊祭〈せんれいさい〉 ↓ 玉串奉奠(斎主、遺族・親族) ↓ 玉串奉奠(参列者) ↓ 斎主・斎員退場 ↓ 閉 式 ↓ 直 会〈なおらい〉 |
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<葬場祭> |
一同着席 ↓ 斎主・斎員入場 ↓ 開 式 ↓ 祭祀奏上 ↓ 玉串奉奠(斎主、遺族・親族) ↓ 玉串奉奠(参列者) ↓ お 別 れ (棺を囲んで副葬品やお花を手向ける) ↓ 喪主挨拶 ↓ 出 棺 |
キリスト教式
キリスト教には旧派のカトリックと新派のプロテスタントに大きく分かれます。それぞれにおいても地域や教会によってやり方が違います。
呼び名もカトリックでは聖職者を「神父」、礼拝で歌う歌を「聖歌」と呼び、プロテスタントでは「牧師」、「賛美歌」と呼びます。
カトリック
カトリック <通夜の集い> |
開 式 |
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カトリック |
開 式 |
プロテスタント
プロテスタント <前夜祭> |
開 式 |
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プロテスタント |
賛美歌斉唱 |
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